椅子に座らされ、女子に取り囲まれ、髪をいじられる。
「沖田くん、足ツルツル〜。剃ってきたの〜?」
「何にもしてない」
「うらやましーい!!!!しかも細いし!!!!見せて〜!!!!」
「うらやましーか。ほれほれ」
 俺はヤケになって、足を投げ出して、前の机の上に乗せる。
「ほんっとツルツル〜!!!!うらやましーい!!!」
 うらやましがられても嬉しくねーや。俺はやさぐれて、スカートのまんまあぐらを掻く。
「その格好であぐら掻くなよ。みっともねーな」
 声のした方に振り向くと、土方がバシッとノリの利いた白衣を着て、眼鏡を掛けて呆れたような顔で立っていた。
「な、な、な…なにそのカッコ。え?ってことは、お前が長身イケメン男子認定ってこと?ふざけんな〜!!!てめぇ、死ね!!!!」
 思わず立ち上がり、土方の首根っこ掴んで持ち上げる。
「知るか!!!俺だって無理やり着させられたんだ!!!!」
「まぁまぁ、落ち着けよ。二人ともよく似合ってるぞ」
 ゴリラの着ぐるみに止められる。
「………志村?」
「なんですって?」
 背後から、志村のヒステリックな声で鋭い突っ込みが入る。
 着ぐるみが顔の部分を外す。ゴリラの着ぐるみを着ていたのは近藤だった。
「志村さんがこれ着て客引きしろっていうから」
 近藤はなんだか得意げに言った。
「ってか、なんで得意げなの?つーか、その本格的な着ぐるみ、どーしたの?」
「自分で買った」
「じ、自腹〜?馬鹿だ。本物の馬鹿だお前は。ばーかばーか」
「俺にしかこんなこと頼めないって志村さんが言うからさぁ。
 着ぐるみ着なきゃ、学園祭に参加させないって」
 馬鹿の近藤が嬉しそうに言う。