「そりゃいじめだろ!!!このクラス、イジメがあるよ!!!!」
 俺の心の叫びは当然のように無視される。反応ゼロだ。
「いじめ?」
 当の近藤は嫌がらせに全く気づいていない。そんなのもう救いようがない。
「……よっぽど、お前の顔見たくないんだうろなぁ、志村は」
 俺はため息をついて嫌味をいう。

 白衣に眼鏡の土方が動くと、遠巻きで女子がキャーキャー騒ぐ。
 あー、むかつく。俺はやさぐれてワザと足を派手に開いて座る。
「っていうかさぁ、俺だって、毎日、白衣に眼鏡なんだけどさぁ…なんで女子にキャーキャー言われない訳?
あれ、俺の白衣だぞ?もっと俺、キャーキャー言われてもよくね?」
 気が付くと学生服姿の銀八が俺の後ろに立ってぶつぶつ言ってた。
「あんたいつも白衣汚れたまんまのヨレヨレだからじゃね?」
「なに?アイロン掛ければ、俺もモテモテか?これから毎日クリーニング出すか」
「あー、やっぱ、目が濁ってるから駄目だ」
「やっぱ、駄目か〜。いざとなったらちゃんとキラメクんだけどなぁ〜」
 銀八が派手にため息をつく。っつーか、いい加減、落ち着けよ。
「ところで、沖田、そのカッコ似合うな」
「そりゃどうも!!」
 俺はヤケになって大声で返事する。
「先生のこの学ランだけどなぁ…。いくら男は死ぬまで少年って言ったって四捨五入して30の大人に、やっぱ学ランは無理があるよなぁ……」
「だから生徒に向かって愚痴るなっつーの!!!」
「もうすぐ、保護者や一般客の入場が始まっちゃうよ……。俺、どんな顔して保護者と挨拶すればいいかなぁ?」
「んなこたシラネェよ!!!てめぇで考えろよ!!!」

 あぁ、もうやってらんねぇ!!!隙見て、絶対逃げ出してやる!!!!