俺を探す声に逃げながら、後ろを振り返りつつ、俺は廊下を走りぬける。
 あーもうほんとむかつく!!!!俺のたまりにたまったストレスは最高潮だ。今の俺に障ると絶対火傷すると思う。

 後ろを振り返りつつ走っていたら、廊下を曲がったところで、ドンと何かに派手にぶつかって、跳ね飛ばされてしりもちをついた。
「いてーっっっ!!!!」
 俺はやけになって叫ぶ。思いっきりぶつけた鼻が痛い…。
「いてぇのはこっちだ!!!」
 と返された。見たことのない他校の男子生徒達だった。昭和の時代からやって来たのかって感じの、今時なかなか見かけない長ランにボンタンのズボンを履いた、見るからに柄の悪そうな奴らだった。
 廊下に座り込んでる俺を見て、にやっと笑う。そして、俺の腕を引っ張って立たせた。
「君、ここの生徒?せっかくだから、学園祭、案内してよ」
「は〜?」
 あーもうほんとマジ、イライラする。次から次へと、なんなんだ!!!!
 つかまれた腕を取りかえそうと引っ張るが、ぎゅっと握られていてはなしてもらえない。
「腕、離せよ!!!」
「そんなつれないこと言うなよ?そっちがぶつかってきたんだからさ、お詫びに今日一日案内してくれたっていーじゃん」
 思わず、無意識に足が出た。俺の脚が、俺の腕を掴んでいたガタイの良い男の膝に当たる。
「いてっ、てめぇ何するんだ!!!」
「うるせぇっ!!!!忙しいんだ、こっちは!!!!邪魔すんな!!!!」
 殴りかかってきた一人に回し蹴りを食らわせようとしたが、スカートが引っかかって上手く足が上がらず、バランスを崩して前のめりに倒れそうになる。
 やべっ!!!!間に合わねぇっ!!!殴られるっ!!!
 思わず目を瞑った。でも、予想していた衝撃は来なかった。
「お前、なにやってんだ?」
 ため息まじりで、呆れたように誰かが言った。
「いてっ、いててててて」
 俺に殴りかかってきた奴の腕がねじり上げられていた。