教室の片付けも大方片付き、校庭にみんなが集合し始めた。
 仮装してフォークダンスというお題なだけあって、皆、華美にならない範囲で、思い思い好きな格好をしているようだ。
 猫耳つけた女子だとか、うさぎ耳つけた女子とか、野球のメットを被った男子とか、色んな奴がいた。
 その中でもとりわけ、近藤のゴリラの着ぐるみは目立つ。

「近藤さー、こんなの着てて、熱くねぇの?」
 とポンと後ろから肩を叩いて聞いた。そのまま、ふらーっと揺れて、派手な音を立てて倒れる。
「うわーっ!!!やっぱ熱いんじゃん!!!」
 慌ててゴリラの顔を取ってやる。近藤はすっかり白目を剥いて、気絶していた。
 土方が騒ぎに走ってやってくる。
「何やったんだ、お前!!!」
 ってなぜか俺が怒鳴られた。
「俺は何にもやってねーよ!!!こんなのずっと着てるから、熱くていきなりぶっ倒れたんだよ!!!」
「近藤……、フォークダンスをあんなに楽しみにしてたのに………」
 よく分からないが、土方が感極まって目頭を抑えて、男泣きする。
「とりあえず脱がそうぜ。この着ぐるみ」
 二人で協力して着ぐるみを脱がす。着ぐるみの中の近藤は、熱さ対策のためか、水色と白のストライプのトランクス一丁だった。
 周辺の女子が、キャーキャー悲鳴を上げている。
「あー、これは…、明日から近藤は伝説になるだろうな。仮装だといってパンツ一丁になった変質者だって」
 土方が派手にため息をついて、自分の着ている白衣を脱いで、気を失ってる近藤に掛けた。
「これ、脱水症状起こしてんじゃね?水とか買ってきた方がよくね?」
「つーか、とりあえず保健室に運ぶわ」
「あー、その手があったかー」
「担架借りてくるから、見ててくれ」
「分かったー」
 俺は仕方なく答えた。あー、めんどくさ。