校庭の中央に組まれたキャンプーファイヤー用に組まれた薪のところに、学校祭で使った看板や、張り紙などのゴミがどんどん集められている。

 生徒会長の挨拶があって、校長の挨拶があって、よくわかんない火の精とか火の神とか出てくる儀式があって、散々勿体ぶってから、やっとキャンプーファイヤーに、トーチで火がつけられた。
 二年生と三年生は、郊外学習で、すでにキャンプファイヤーとフォークダンスをやらされていたから、別に目新しくもない。
 学校の行事によくありがちな話だけど、実行委員だけがやたら張り切っていて、宣誓とか、誓いみたいなのがあったり、歌を歌ったりして、フォークダンスの音楽が流れ始めると、仕方なくみんなぞろぞろと二列の列を作る。
 ジェンダーフリーだかなんだか知らないけど、今の学校はやたら男女の枠にはこだわらない!!!みたいな暗黙の了解が徹底されているから、列も男女混合で、仕方なく、男子同士で手を取り合って踊ったり、女子同士でダラダラと踊ったりしている。
 すっかり火が暮れた。炎で照らされてもあたりは薄暗く、手を取り合うまで、相手の顔がよく見えないし、男女も学年も混合なので、知ってる人になかなか当たらない。
 何が楽しいんだろ、これ……。と思いつつも、輪を乱すのもアレだからと仕方なく惰性で踊る。1フレーズ踊る度に、どんどん相手がチェンジしていく。
 あーあ、早く曲、終わらないかなー。

「あ、土方」
「げっ。沖田」
 次の奴の手を取ったら、土方だった。
「そんなに俺と手をつないで踊りたいのかよ……」
 とやれやれとため息をつくと、
「ふざけんな!!!」
 と怒鳴られた。
「素直になれよ、ほんとは俺と踊るの狙ってたんだろー?」
「違うっつーの!!!」
 ぎゅっとワザと痛いように手を握られる。
 もちろん、負けず嫌いの俺はもっと強い力で握り返す。
「うーっっっ!!!」
「ふーっっっ!!!!」
 猫が牽制するように、睨みあいながら、血が止まりそうなくらい、御互いの手を強く握り締めて、爪を立てながら、嫌々踊る。ワザと思いっきり腕を引っ張られたり、激しく回された。
 ムカついたから、思いっきり足を蹴っ飛ばしてから、
「ごめーん、足が引っかかった。ワザとじゃないぜ」
 とか言ってやった。
 ガンとお返しのように足を踏まれる。もちろん、即座に踏み返す。
「わざとじゃねぇって言ってるだろ!!!」
「嘘つけ!!!」
 首根っこを掴まれて持ち上げられる。
「嘘じゃねーって」
 と、怒鳴り返して、逆に首根っこを掴んでやる。
 あーもう、マジムカついた。今日は一日、本当に散々で、ストレスたまってんだよ、こっちは!!!
 絶対容赦しない!!!マジでやってやろーじゃねーか!!!!