満腹になった後の、天気の良い気持ちの良い午後は誰がなんと言ったって、昼寝に限る。

 四時間目の授業終了のチャイムの後、皆が仲良しグループごとに机をくっつけたり、手を洗いに行ってる中を、一人、自分の机で弁当をかきこんだ後、誰よりも早く教室を抜け出して、特別教室棟につながってる中庭の芝生の上で寝るというのが俺の日課だ。ここは俺の特等席だ。
 ここにくれば、昼の時間とその後の35分の昼休みの時間を合わせて、一時間くらい大の字に寝転がって寝れるのだ。
ここで俺は、貴重な睡眠時間を補充する。些細なことだけど、確実に小さな幸せを味わえる時間だ。
 朝、目が覚めて、天気が良いとそれだけで嬉しくなる。ここで眠れるからだ。
 雨の日は昼休みの教室で、机に突っ伏して寝る羽目になるからそれだけで気が重い。昼休みの教室はずーっとざわざわと煩いし、長時間頭を置いた腕がしびれて辛くなる。(それでも寝るけど。)

 俺はその日も、平和な午後、幸せな惰眠をいつまでもかみ締めるようにむさぼっていた。


「沖田!!おいコラ起きろ!!!」

 しかし、耳障りな低い声に邪魔される。

「なんだよ、母ちゃん。今日は日曜日だろ〜?」
 俺は寝返りを打ちながら、ワザと冗談を言う。
「今日は水曜日だ!!!」
 と冗談の通じない「奴」に怒鳴り返される。

 俺はあーあとため息をついて、仕方なく体を起こしてあくびをして頭をかく。
「うっぜーなぁ。いったい、俺に何の用事だよ…」
「ばーか!!!もうとっくに授業が始まってんだよ!!!!今、何時だと思ってる!?」
 昼休みの昼寝は、気持ちよくて、熟睡しすぎて、五時間目の授業開始のチャイムに気づかず、たまにこんな風に寝過ごすことがある。
「授業が始まる前までに戻ってこいよ!!!!お前がいないと、クラス委員の俺がいちいち先生に呼びに行かされるんだからな!!!!」
 あぁ、うぜーなぁ……。