俺が寝起きで働かない頭でぼんやりしてると、俺を呼びに来たクラス委員の土方が俺の腕を握って、無理やり引っ張って立たせる。
「ほら、行くぞ!!!」
 腕を強く引っ張られる。
「分かった。分かったから、手はなせよ」
「お前はすぐに逃げるから駄目だ!!!」
 HRとか、学校祭とか、体育祭とか、「逃げても支障がなそさうな時」に、俺が逃げたことを今でも土方は根に持っている。
 腕を引きずられて廊下を歩いていると、窓が開いてる授業中の教室から、好奇心ばりばりな目で見られる。
「……デートだ」
「デートだわ」
 なんていう女子の囁きまで聞こえる。あーむかつく。


 学校祭で土方と俺が色々あってから、よくわかんないけど、俺達は付き合っている、という噂が実しやかに学内を駆け巡り、知らない間に俺達は学内公認のカップルになっていた。
 一度も一緒に帰ったことも、遊んだことも、昼休みに弁当を一緒に食べたことすらないのに。
 っていうか、こんなに仲が悪いのに!!!
  本当に、土方とは合わないと思う。俺達は犬猿の仲だ。  


「すいません。今、戻りました」
 教室について、教師に向かって、礼儀正しく頭を下げる。
「お前もちゃんと頭下げろ!!」
 って、ぐいっと抱えられるように頭を無理やり下げさせられる。

 あー、ほんとマジで、うぜー。死ねよ、土方。マジで死んでくれないかなぁ?その時はすっごい苦しい死に方をして欲しい。つーか、とりあえず、俺の視界から消えて欲しい。
 俺は心の中で、次々と呪いの言葉を呟く。

 腕を引かれて戻ってきたので、女子達はまた手つないで戻ってきたとか何とかいってキャーキャー騒いでる。
 この後また、授業中、学内を仲良く手をつないで歩いていた、とかいう噂が立つのであろう。

 あぁ、マジでうぜー。