五時間目が体育の授業だと、休み時間の間に、体操服に着替えないといけないから、眠れる時間が少なくなるから悲しい。体育の教師は、文科系の教師と違って、少しでも遅れると口煩いし。さすがに体罰はPTAや保護者が煩いからされないけど、でも余分にトラックを走らされるくらいのことはやらされる。

 四時間目が終わって、いつものように誰よりも早く弁当を出してかきこんでいたら、土方の奴に、
「五時間目は体育だから、今日は中庭に寝に行くなよ」
 と言われた。
「はー?そんなの俺の勝手だろ〜?ちょっと早く戻ってくれば十分じゃん」
 まぁ確かに、そのまま寝過ごす可能性は高いんだけど。
「今日は準備に時間が掛かるんだ。ちょっと早く戻ってくるんじゃ、遅い!!!」
 だってさ。何、体育ごときで張り切ってんだ?この優等生の先生のお気に入りは。
「うるせぇなぁ…。分かった。体操服に着替えてから寝にいく。それならチャイム鳴ってからでも間に合うからいーだろ?」
 俺が口いっぱいに弁当を頬張りながらぶつぶつ呟くと、
「お前、先生の話、何聞いてたんだ?今日から体育は剣道だぞ。
防具をつけるのに時間が掛かるから、早く集まれって言われただろ?」
「あー?」
 そうだっけ?覚えてない。
「二年の時にやったけど、みんな忘れてるだろうから、剣道部の俺達が、防具のつけ方、みんなに指導して着せておけって言われてるんだ。15分前には、体育館に来いよ!!!ってか、迎えに行くからな!!!」
 あーもう、張り切っちゃってうぜぇなぁ…。
「俺、今日、体育見学するわ。二日目ってことで」
「ふざけたこと言うな!!お前にはみっちり体に技を教え込んでやる!!!」
 土方がちょっと赤くなって怒鳴る。二日目程度の単語に過剰反応すんなよ、うぜぇなぁ。
「体に技を教え込んでやるだってさ!!!土方に襲われる〜!!!助けて〜!!!!俺の貞操の危機だ〜!!!」
「誰がお前なんか襲うか、馬鹿!!!!」
 俺達のくだらないやりとりに、女子達がきゃーきゃー騒いで喜んでいる。
 しかし、張り切っちゃって、マジでうぜぇなぁ。体育の授業がバスケットの時はバスケ部の奴が、バレーボールの時はバレー部の奴が異様に張り切るものだけども。それにしても。