片付けて、軽く床に雑巾を掛けて(使った後、雑巾を掛けておかないと、じいちゃんにどやされる。)、母屋に移動する。
 母屋の道場の応接室代わりの居間のソファーに土方を座らせて、飲み物を取りに行く。
 飲み物を用意して、戻ってくると、土方は居間の四方に並べられてる、症状やトロフィーを見てた。
 じいちゃんが取ったものや、じいちゃんに送られた国や県からの賞状、この道場が団体戦で取ったものや、俺が取ったものも並べられている。
「少年の部優勝って、嘘じゃないんだな」
 と土方が俺の名前の書かれたトロフィーを見て、言った。
「んな、カッコワリー嘘なんかつくかぃ!!!写真だって飾ってあるだろ!!!」
 俺が小学生の時、初めて優勝した時、トロフィーを持って撮った写真が大判に引き伸ばされて、フォトフレームに入れて飾られているのを指差して怒鳴った。
 土方は証拠の写真を見ても、まだ腑に落ちない、と言った顔をしている。

 ばあちゃんが顔を出す。
「総悟、見学は終わったの?あら、こんばんわ」
「こんばんわ。お邪魔してます」
 と外面だけ良い、優等生な土方が礼儀正しく頭を下げる。
「うん。終わった。一緒に稽古した。後でクラスでやってる稽古を覗いていくかもしんないけど。こいつ、土方」
「あらあら、総悟、知り合い?」
「同じクラスの剣道部の奴」
 と俺は適当に答える。
「同じクラスなの?じゃあ、総悟が勧誘したの?」
「違う。偶然」
「偶然? まぁまぁ、じゃあ、いつも総悟と仲良くしてもらって……」
「仲良くない。全然。むしろ仲悪い。顔あわせりゃ喧嘩ばっかりしてる」
 俺がきっぱりと言い切ると、
「総悟っ!!」
 ってばあちゃんに睨まれた。