「銀さんがオンナにモテるなんてそんな訳ないじゃない!!なにを馬鹿なこと言っているのよ?!」
 と何処が良いのか分からないがうちの局長が心底惚れ込んでストーカーまで働いているという、万事屋の下っ端の新八の姉貴である妙っていうゴリラ女が、発情期のメス猿のようにいきり立ってエキセントリックに騒ぐからマジでうるせぇぇええ。
 つーか、お前は中学生女子か! その過剰反応な態度がまさに惚れてるって言うんだろ!!と俺は思うが、絡まれるのがメンドクサイので黙っている。
「ほんと、女心って奴が分からん子供(ガキ)アルネ〜」
 と、つーかてめぇのがガキだろ!な生意気チャイナ女がしたり顔で偉そうに語る。
 当の旦那ははーっとでかいため息を興味なさそうに吐いて、そっぽを向く。
「大体、銀さんなんかとつきあったら女は苦労するに決まってるじゃない!」
「打つ、飲む、借りる、働かない、今だに愛読書が少年ジャンプのダメの五拍子アル!銀ちゃんはダメ中のダメ男ネ!銀ちゃんと付き合う女なんてほんと男を見る目ないヨ!」
 と、女二人はヤケに意気投合している。
 じゃあお前達はなんでここにいるんだよ……。
「俺はただ、旦那は随分女を泣かせてきたんだろうなぁと思っただけでぃ」
 と言い返すと、
「それだったらまだ分かるわ!」
「金をせびったり、たかったり、きっと泣かせまくったに違いないネ!」
 と声を合わせてまた女共がピーチク騒ぐ。全く素直じゃねぇ奴らだ。人のことは言えねぇが。


 旦那は興味なさそうに小指を耳に突っ込んでほじりながら、だるそうにテレビを見ている。

 俺は本当に、旦那は女にモテそうだと素で思っただけなんだけどねぇ。お世辞じゃなく。


 生まれてこのかた、女にモテたことのない近藤さんはおいておいて、モテるモテると自分で自称しながらも玄人女にしかモテた試しのない土方さんとか、詰所に巣くう貧乏で暇がなくて金も女も縁のない隊員達と、俺の周りの野郎サンプルはいささか特殊ではあるが。
 でもやっぱり、旦那はちょっと違うというか、女にモテそうな気がする。